2010.7.9 20:46
世界最大の飛行船で、首都圏などの上空を悠々と飛行する姿がつい最近まで見られた「ツェッペリンNT」が、解体されたことが分かった。運航する「日本飛行船」の破産手続きに伴うもので、支援企業も見つからず日本の空から飛行船は消えた。ファンらは「ついにこの日が来たか」と嘆くが、関係者は「ハッピーエンド」と、意外な行く末を明らかにした。
日本飛行船が破産 負債約14億円(6月22日)
埼玉県川島町のホンダエアポートに係留されていた飛行船は、8日午後の段階で解体作業がかなり進み、ゴンドラ部分や幕が取り外され、骨組みだけの状態になっていた。全長75メートル、最大幅19・5メートルという在りし日の雄姿はどこにもない。
解体作業は5日ごろから本格的に進み、近所のファンがミニブログ「ツイッター」上で写真をアップして報告。8日もファンや関係者数人が最後を見守った。ファンの1人は「世界的にも飛行船の遊覧飛行は少ない。こうなる前に一度乗っておくべきだった」と、ため息を漏らしていた。
ツェッペリンNTは2004年にドイツのメーカーから海上輸送で日本飛行船に引き渡され、当初は広告用として同年の愛知万博PRで全国を飛び回った。07年11月からは遊覧飛行を開始。当時の東京上空クルーズ料金は90分で12万6000円と高額。不況で利用者が減ったことと、巨額の維持費が同社の経営を圧迫した。同社関係者は「特に、充填するヘリウムガスの単価が高かった」と話す。
起死回生策として、今年4月から東京・晴海埠頭の都有地をベースにクルーズを開始。価格も半額にして乗客を呼び込もうとしたが5月末に事業停止を余儀なくされ、先月、東京地裁から破産手続き開始の決定を受けた。負債総額は約14億円という。
「飛行船は事業停止後も係留されたまま。安全のため、常にスタッフが張り付く必要があり、3交代寝ずの番で船体の気圧調整などを行っていた。係留だけでも巨額のコストがかかる。そのままの形で売却するのがベストだが、うまくいかなかった」(破産管財人)