≪STORY≫
ダイハツ工業の新型軽乗用車「ミラ イース」は、ガソリン1リットル当たり30キロメートルというハイブリッド車(HV)に匹敵する燃費性能と、80万円を切る低価格が売りモノだ。自慢の低燃費性能は画期的な新技術によるものではなく、既存技術の積み上げで実現。軽最大手のプライドをかけて開発した自信作だ。同社の伊奈功一社長は「軽の存在価値を消費者に問う」と強調。HVや電気自動車(EV)に対抗する「第3のエコカー」として注目を集めそうだ。
「イース」のコンセプトカーが、公表されたのは2009年10月の東京モーターショーだった。燃費性能を最重視し、リッター30キロを当時から標榜(ひょうぼう)した。
この年の5月にトヨタ自動車が3代目HV「プリウス」を発売したばかり。さらに三菱自動車もEV「アイ・ミーブ」を投入した。こうした動きもあって、日本だけでなく世界の自動車メーカーが、HVやEVを中心に据えたエコカー戦略を続々と表明。当時のモーターショーはまさに、HV、EVのコンセプトカーばかりが目立つ状況だった。
その中でダイハツは軽自動車を既存の技術で、HV並みの性能を実現する「イース」を展示し、異彩を放った。
ただし、今回発売したイースは、モーターショーで出展されたコンセプトカーとはまったく仕様が異なる。例えば、コンセプトカーは2ドアなのに対し、イースは4ドア。さらに全長もイースは約30センチ長い。