日本を気遣う余裕
「ハイ、TV!」
開幕したCESのサムスンのブースでは、声や手の動きで音量やチャンネルを変えることができるスマートテレビの操作を実演で紹介。「ボリュームダウン」や「チャンネル1」など指示は英語だが、担当者は「英語のなまりも認識するので、世界中の誰が使っても大丈夫」と、グローバル仕様を強調した。
演出も巧みだ。タブレット型多機能端末「ギャラクシー・ノート」を紹介するコーナーでは、本物の絵描きが付属の筆記具で有機ELパネルに書き込みができる機能を使い、似顔絵を描いてくれる趣向が好評で、連日長い行列ができた。
出展担当者は「サムスン製品を持つことは米国人にとってステータスになっている」と、ブランド力にも自信満々だ。
「日本はあまりに先行したためか、今はちょっと力がなくなってしまった。中国は若い国で、一生懸命追いつこうとしているが、韓国についてくるにはまだ少し時間がかかるようだ」
会場を訪れた李健煕会長の台詞だ。5年前に韓国の位置づけを先行する日本と猛追する中国の間に挟まれた「サンドイッチ」と表現していたが、今や日本を気遣う余裕すら漂わせた。
一気呵成に市場制圧
「展示スペースの確保からブース全体の構成まで力の入れ方が違う」
「日本メーカーで同じクオリティーの展示ができるところは一つもない」
敵情視察に訪れた日本メーカーの担当者は、驚嘆するしかなかった。