今月中旬、世界最大規模の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」取材で米ラスベガスを訪れた。ラスベガスといえば「カジノの街」としてあまりにも有名だが、その地位にただ安穏としているのではなく、観光客をカジノに向かわせる多くの“仕掛け”があることに気づいた。
まず、ホテルに入ると広大なカジノが広がり、そこを通らないと部屋に行くことができない。またカジノエリアには標識がほとんどなく、初めて行く場所では確実に迷子になる。もっとも、それこそがホテル側の狙いで、ラスベガス通の知人にいわせれば「客にカジノで遊んでもらうため」なのだという。
さらに、ホテルの部屋には冷蔵庫やソファが標準装備されていないが、これも「部屋に長居させないため」(知人)というから、その徹底ぶりには感心するばかりだ。
CESでも各社の仕掛けが光っていた。世界中から2700社以上が参加し、1日ではとても周り切れない広大な会場。数百平方メートルの大手メーカーのブースから、1畳ほどの小さなスペースが長屋のようにずらりと並ぶ中小企業の展示まで、来場者にいかに目を留めてもらうかの工夫が満載だった。
韓国勢の有機ELテレビ、ソニーの次世代LEDディスプレーなどの最先端技術や夢のある“未来家電”だけでなく、くすっと笑ってしまうアイデア機器にも魅了された。CESに出展された試作品が実際に製品化されたとき、消費者が各社の仕掛けにどのような驚きと感動を覚えるのか、想像するとワクワクする。
さて、数々の誘惑にも負けず、カジノを一度も楽しむことなく帰途に就いた。ところが、空港に並ぶスロットマシンを見て、飛行機を待つ手持ちぶさたについ…。ラスベガスの仕掛けに最後の最後ではまってしまったのだった。(古川有希)