【ビジネスアイコラム】食べログ問題“やらせ情報”に踊らされた人は自業自得 (2/2ページ)

2012.1.30 05:00

 テレビのワイドショーで、ある評論家が「口コミ情報がもてはやされるのはマスコミの信頼性がなくなっているからだ」とやっていた。その通りかもしれない。紙媒体やテレビ放送で紹介される飲食店情報には、一部の口コミ情報誌などを除いて、批判などマイナス情報は出てこない。広告主やスポンサーに大なり小なり配慮しなければならないマスコミの体質を感じ取っているからこそ「口コミ情報」をネットの恩恵としてありがたがるのかもしれない。

 「口コミ」は本来、人の口を介して信用とともに少しずつ伝わる情報で、伝達の過程で検証されるのが普通だった。しかし、口コミサイトの乱立で、1人の情報が時間と場所を無視して一挙に伝搬されるようになった。明確なやらせだけではない。運営会社の社員による書き込みや、飲食店によるウェブライターの接待漬けなど、線引きが難しい情報もあふれかえっている。情報を取捨選択する責任は情報の受け手に託される時代。複数のサイトや情報誌をみたり、詳しい人に聞いたり、ネットで知人から情報を収集したり…。その手間が「自己責任」にほかならない。

 「やらせ業者は永遠に根絶できない」(情報サイト運営会社)といわれる。ネットの情報を信用して不味(まず)い料理を食べる羽目になっても、だれも責任は取ってくれないのだ。(産経新聞経済本部・芳賀由明)


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