リストラへの不安
三洋は主要な事業をパナソニックに統合した後も、デジタルカメラのOEM(相手先ブランドによる生産)や米小売り大手ウォルマート・ストアーズへのテレビ供給など、相手先との契約がある事業を継続している。ただ、OEMは競争激化で採算が悪化。ウォルマートへの供給も将来的にはパナソニックブランドへの切り替えを検討中だ。三洋社員の間では、「新たな人員削減の対象になるのでは」との不安が消えない。
三洋にとって近年では最大のヒット商品となったコメを使う家庭用パン焼き器「GOPAN(ゴパン)」。三洋は今月1日にゴパンなどを生産する子会社「三洋電機コンシューマエレクトロニクス」(三洋CE、鳥取市)を4月1日付で吸収合併すると発表。一部で「さらなるリストラの布石では」との不安が広がった。三洋は「新たな人員削減を意図するものではない」と、火消しに躍起となった。
「志を合わせてシナジー(相乗効果)を発揮しなければならない」。今年の元旦の午前0時。大坪社長はインターネットを通じてグループ約35万人の従業員に“結束”を呼びかけた。
リストラの荒療治は、グループの社員の士気低下を招き、シナジーの障害となる懸念がある。
今月3日の会見で大坪社長は「相乗効果を性急に求めるべきではない」とも語った。だが、同日の株価は年初来安値の582円まで下げ、昨年1月に付けた直近高値の半分以下の水準に沈んだ。市場は早急な結果を求めている。大坪社長の苦悩は続く。(大柳聡庸)