さらに米政府が米金融機関に対し、米国債以外の国債購入を事実上禁止する「ボルカー・ルール」を導入する方針を打ち出すなど、日本国債を取り巻く環境は厳しさを増している。
各行は長期金利の急上昇に備え、償還期間が10年以上の長期国債はできるだけ売り、1年以内の短期国債に買い替えるといった対応策を検討中だ。ただ、「東日本大震災の被災地以外は資金需要が低迷したまま」(メガバンク幹部)のため、「国債投資に代わる運用先が見当たらない」(大手行幹部)のが実情。「日本の銀行である以上、国債のリスクから逃げ出すことはできない」(メガバンク幹部)というジレンマも抱える。
国債急落を避ける抜本的な対策は財政立て直しを軌道に乗せることに尽きる。「しっかりしてくれと政府に言いたいのが本音」とのため息が、銀行界に渦巻いている。(高山豊司)