シャープが台湾企業と資本業務提携 「自前主義」と決別、日本の「ものづくり」岐路に (1/2ページ)

2012.3.27 21:36

 シャープが電子機器の受託製造世界最大手の台湾・鴻海精密工業と結んだ資本業務提携は、日本のものづくりが岐路にさしかかったことを示している。今回、シャープと鴻海が共同運営することになった堺工場(堺市堺区)は「第10世代」と呼ばれる大型ガラス基板を世界で唯一採用する最新鋭工場だ。“秘中の秘”が詰まった工場を共同運営することは、「技術力で難局を打開する」としてきたシャープをはじめとする日本の電機メーカーの限界を暗示している。(古川有希、田端素央)

 「円高などの厳しい環境の中、単純な垂直統合では限界があった」

 都内で緊急会見に臨んだシャープの奥田隆司次期社長は力なく声を絞り出した。鴻海との戦略提携を選んだことは、シャープが売り物にしてきた「液晶パネルから完成品のテレビまで」という事業モデルの頓挫にほかならない。

 かつて“稼ぎ頭”だった液晶パネル事業は、平成23年4~12月期で137億円の営業赤字に陥り、堺工場は1月から50%の減産態勢を強いられている。サムスン電子など韓国勢との苛烈な競争で年2~3割のペースで製品価格が下落。「自前主義との決別」はテレビ事業を継続するためのまさに最後の手段だった。