【底流】シャープ“自前主義”に変化 台湾企業が筆頭株主で勝算あり? (1/3ページ)

2012.4.1 12:30

鴻海との業務提携で会見したシャープ次期社長の奥田隆司常務執行役員=3月27日午後、東京都千代田区(栗橋隆悦撮影)

鴻海との業務提携で会見したシャープ次期社長の奥田隆司常務執行役員=3月27日午後、東京都千代田区(栗橋隆悦撮影)【拡大】

 電子機器の受託製造で世界最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が筆頭株主になることになったシャープ。液晶パネル工場の稼働率向上など課題を一挙に解決する電撃的な資本業務提携だが、メーカーの生命線である技術の流出の不安も。それでも提携に踏み切ったのは、日本の家電各社が世界市場で苦戦を強いられ、研究開発から生産までの「垂直統合モデル」が通用せず、軌道修正を余儀なくされている背景がある。

 垂直統合モデルは、いわば「自前主義」。自社内だけで製品や情報を流通させるため、取引コストの低減や技術・情報の漏洩(ろうえい)の危険性が低いというメリットを持つ。一方、初期の設備投資が巨額にのぼる上、商品需要が低下すれば打撃を受けるリスクがある。

 シャープは液晶パネルの堺工場(堺市)、パナソニックはプラズマパネルの尼崎工場(兵庫県尼崎市)と巨費を投じて最新鋭の生産拠点を建設したが、中国や台湾、韓国企業の台頭で競争が激化。なかでもテレビや液晶パネルの価格ダウンが激しく、工場の稼働率低下などで経費がかさみ、両社の平成24年3月期連結最終損益が過去最大の赤字予想となる最大の要因となった。かつてない厳しい状況下、2社の“自前主義”に変化が表れている。