【ニッポン経済図鑑】ヤマハ発動機 磐田本社工場 (2/2ページ)

2012.5.5 05:00

 ラインが短い分だけスペースが抑えられ、工場が受け持つ全二輪車の生産に対応できる余裕ができた。もっとも、ラインが短いと配置できる従業員も少なくなり、車種によっては1台の組み立てに約2時間かかる。

 BD(ボディー)製造統括部の原田浩之課長によると「1人の作業が300項目以上にのぼるモデルもあり、集中力が欠かせないため、普段から二輪車に乗っているバイク好きの従業員を選んだ」という。

 ラインから離れた一角に、出入り口が閉め切られたエンジン製作室がある。帽子をかぶり、靴にカバーをし、静電気が起きにくい服を着用した上で、ほこりを空気で吹き飛ばしてからでないと、室内には入れない。

 ここで造られているのは、資本提携関係にあるトヨタ自動車のレクサスブランドのスポーツカー「LFA」に搭載するエンジンだ。車両価格が3750万円もする超高級車向けとあって「部品の保管から製作工程まで空調を管理し、さびやほこりに厳重な注意を払っている」(木村隆昭専務執行役員)。

 特別の訓練を3年以上にわたって受けたベテラン従業員4人が、3日かけて1台しか造れない。「作品」には1台ずつ、従業員の名前が製作者として刻まれる。

 風通しが良く静かな工場全体は、油などの機械臭や金属音とは無縁の環境が印象的だった。統合の成果だけでなく、世界展開のモデルとなるマザー工場としての役割も求められるだけに、現場が一丸となって改善に取り組む日々が続く。(大坪玲央)

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【用語解説】ヤマハ発動機磐田本社工場

 静岡県磐田市新貝2500。1966年に操業を開始。敷地面積は47万8031平方メートル、工場の建物面積は15万4416平方メートル。集約・統合に伴い、同社では国内唯一の二輪車工場となった。排気量50~1900ccのモデルを年間20万台生産している。工場内は非公開。