三菱重の改良版H2A、14年にも打ち上げ 燃費向上で重い「衛星」搭載OK

2012.5.8 05:00

 三菱重工業は7日、打ち上げ能力を大幅に高めた国産基幹ロケット「改良版H2A」の打ち上げ時期が早ければ2014年になるとの見通しを明らかにした。改良型は現行型の「H2A」に比べ燃料が節約でき、放送衛星など、より重量の重い人工衛星を打ち上げられるのが特徴。改良型の投入で、出遅れていた商業打ち上げ事業をてこ入れし、先行する欧州やロシアのロケットメーカーを追撃する。

 三菱重工が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同開発している改良型H2Aの打ち上げ時期の見通しは、この日、会見した三菱重工の浅田正一郎宇宙事業部長が明らかにした。

 改良型H2Aは、第1、第2と2段階に分かれているエンジンのうち、第2段部分のエンジン使用時間を現行比5倍の5時間に延ばし、搭載する衛星の燃料使用量を少なくできるようにしたのが売りだ。ロケットは、重量の8割以上を燃料が占めており、燃料を減らすことで、重量4~5トン級の人工衛星まで搭載が可能になる。現行型は2~3.5トンまでが限界だったため、放送衛星など4トン以上の重さがある商業衛星の受注数は1件にとどまっていた。

 三菱重工は、ロケットで採算を確保するには、年間最低4機の製造が必要としているが、日本政府の打ち上げ委託案件は年2~3機にとどまる。このため、改良版で東南アジアなど新興国での商業衛星打ち上げの新規受注を獲得し、事業採算の確保を急ぐ構えだ。

 H2Aロケットは、01年の1号機打ち上げ以降、昨年12月までにトータル20号機を打ち上げた。03年に1度失敗したものの、打ち上げ成功率は、信頼性の目安とされる95%に達している。これに加えて、高機能な改良型も投じ、欧州のアリアンスペースやロシアのインターナショナル・ローンチ・サービスのロケットに対抗、衛星打ち上げの受注ビジネスの拡大を狙う。

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