関西人特有の商人精神
こうした事情に加え、関西人特有の気質を理由にあげる声もある。大阪府小売酒販組合連合会(大阪市)の松田武会長(72)は「特に大阪は『商人(あきんど)精神』が他の地域よりも強く、もうかっている自販機をみすみす手放すことに抵抗がある。このため、年齢識別装置が付いた改良型機への切り替えがうまくいかず、従来型機がいまだに多く残っているのではないか」と分析する。
全国ワースト1を返上するため、大阪国税局は同連合会と連携して自販機の撤去を指導しているが、「ほかの店はまだ置いているのに、なんでうちだけ撤去せなあかんのか」と激しく抵抗されることが少なくないという。
未成年者飲酒防止が背景
そもそも、自販機が激減した背景には、未成年者による飲酒防止運動の高まりがある。
発端はビール酒造組合(東京)が平成4年に行った調査だった。飲酒歴のある高校生の55%が自販機で酒を買っていたことが判明。それを受け、酒小売店の全国組織「全国小売酒販組合中央会」(同)は7年、年齢識別装置がついていない従来型機は12年5月末までに撤廃することを決め、自主的に推進。将来的には、改良型機も含め、酒自販機自体の全廃を目指している。