未成年者の喫煙防止のため、20年7月に専用のICカード「タスポ」で成人かどうか識別する自販機を全国一斉に導入。日本自動販売機工業会(東京)によると、23年12月現在、タスポなどの年齢識別機能が付いた改良型機の普及率は100%で、全国に約32万7500台あるという。
切り替えに成功した理由について、同工業会の担当者は「タスポの導入が財務省肝いりの事業だったのに対し、酒自販機の切り替えは業界団体の自主基準でしかなかった」と指摘。たばこ自販機は残すことを前提にする一方、酒自販機は撤廃を前提にしていたといい、「それぞれの業界団体のスタンスの違いが成否を分けた」とみる。
また、酒自販機は基本的に小売店側が購入しなければならないが、たばこ自販機はたばこメーカーが小売店側に無償で貸し出すケースが多いことも普及の追い風になったという。
ただ、たばこ業界もタスポを導入したことで、60万台を超えていた自販機はほぼ半減。2兆円近かった売り上げも、23年は約5800億円に落ち込んでおり、「切り替えには成功したが、タスポの導入自体が成功だったかどうかは何ともいえない」と言葉を濁した。