NTT 攻めの雇用転換 65歳まで雇用延長、過去の“禍根”断つ (3/3ページ)

2012.6.29 05:00

希望者全員が65歳以上まで働ける企業

希望者全員が65歳以上まで働ける企業【拡大】

 雇用延長をめぐっては、政府は厚生年金の支給開始年齢が2013年以降、段階的に引き上げられることに対応、希望すれば誰でも65歳まで継続雇用するよう義務化する高年齢者雇用安定法改正法案を3月に国会に提出。成立すれば企業は13年度から希望者全員の65歳までの雇用延長が義務づけられるが、審議日程は不透明。

 改正法案に反対する経団連は、高齢者の一律雇用延長が雇用悪化や経済の活力低下を招きかねないと懸念。高橋弘行労働政策本部長は「新卒採用にもしわ寄せがいく」と予想。大手鉄鋼メーカー幹部も「『希望者全員』は厳しいというのが本音」と打ち明ける。

 こうした中でのNTTの雇用延長制度。団塊世代の退職が進んでいるのは、他の企業も同じような状況にある。このため、NTTの決断が産業界の見方を変える可能性もありそうだ。(芳賀由明)