サムスンは、日本の優秀な技術者をヘッドハンティングし、その技術力で世界の頂点に上りつめたともいわれている。それにもかかわらず、イ会長の言葉に象徴されるように「もはや日本はライバルではない」といった発言が散見され、なかには「シャープやパナソニックは二流技術」とまで口にするサムスン関係者もいるという。
連結売上高16兆円超のサムスンにとっては、100億円の出資でシャープの主要株主となれるメリットは大きい。液晶事業だけをとっても、シャープが業界に先駆けて事業化している新型液晶「IGZO」は魅力のひとつだろう。
一方、シャープがサムスンと電撃的な資本提携に踏み切ったのは、財務状況の悪化から昨年3月に合意した電子機器の受託製造サービス(EMS)で世界最大手の台湾・鴻海精密工業との提携交渉が思うように進んでいないためだ。鴻海とは9・9%の出資を受けることで合意したものの、出資期限の3月26日を前に協議はまとまっていない。