EMS(電子機器受託製造)企業としてアップルと親密な鴻海の郭台銘会長が、5日に予定されていたシャープ側との会談とを急遽キャンセルしたのは、サムスンとの資本提携が逆鱗に触れたためとみられる。タフネゴシエーターと評される郭会長が、財務状況が悪化するシャープに揺さぶりをかけてくる可能性も否めない。
シャープの経営、がんじがらめに
一方のサムスンも資本提携交渉でシャープの複写機事業の買収を打診し、虎視眈々とシャープの技術を狙う。複写機は正確で確実な機械の作動、精密な光学技術など、メーカーの技術が凝縮された分野。シャープに断られたものの、今後の協議で俎上に上げる可能性は高い。
シャープが資本としてはあまりに少ない金額と引き換えに手にしたのは、鴻海、サムスンの思惑が入り乱れた複雑な“関係”だけにも見える。この関係を整理しない限り、シャープの経営はがんじがらめになっていくのではないだろうか。