東北電力は28日、福島県で進めていた浪江・小高原発の新設計画を取りやめると発表した。計画予定地は東京電力福島第1原発事故の被害地域で、地元の反対が強まる中、建設は不可能と判断した。電力業界では原発事故後、東電が福島第1原発7、8号機の増設計画を中止したが、新設計画を撤回するのは初めて。
東北電は28日、国と県、計画予定地がある福島県浪江町、南相馬市に計画の取りやめを報告。東北電の海輸誠社長と福島県庁で会談した同県の佐藤雄平知事は「一昨年の原発事故で今も避難が続いていることを考えると当然だ」と述べた。
浪江・小高原発は東北電が1968年に浪江町と南相馬市小高区に建設する計画を発表し、用地の取得を進めてきたが、反対が多く難航している。計画予定地は福島第1原発から北へ約10キロの地点にあり、全域が避難区域に含まれている。
東北電が2012年3月に発表した供給計画では、それまで16年度着工、21年度に運転開始としていた計画をともに「未定」と変更した。