日本が引っ張るデジカメ市場 写真の線引きがヒントになりそう (3/3ページ)

2013.3.31 06:00

 したがってメーカーには殊の外地道な仕掛けが要求されるわけだ。しかも消費者は新しいモノ好きが多い一方、伝統志向が強い。冒頭の展示会での年配の男性比率の高さは、こういう背景からも説明できる。

 ただ、「イタリア市場は古臭い」と言い切って良いのだろうか?

 写真は日常のカジュアルなワンシーンを切り取るだけが目的ではない。いわばスマホとクラウドコンピューティングが担っている「ケ」の役割だけでない「ハレ」の部分がある。

 「質の高い画像を残して、大切な誰かにその想いを伝えるという一連のプロセスも重要だと思います。例えば子供の誕生日の姿を、お父さんが高級カメラで撮影し、家族の記録としてプリントで残す。行為そのものが儀式として成立する世界ですね」と黒瀬さん。 

 この「ハレ」の文脈でいくと、「成果もさることながら、プロセスをどう楽しむか?」を重視するイタリアでカメラの使い方に伝統が色濃く出ても何ら不思議ではない。しかも小売店中心の流通システムがライフスタイルを維持するのに有効に作用する。

 「ケ」と「ハレ」の写真の線引きがどこでひかれるか?を知ることが、市場の特徴を掴むにあたり役立ちそうである。

 ローカリゼーションマップとは? 異文化市場をモノのローカリゼーションレベルから理解するアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だ。

 安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。今年は素材ビジネスやローカリゼーションマップのワークショップに注力。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

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