女性の起業では美容や飲食、エステティックなどの業種が上位を占める一方、100万~200万円程度の融資で事業を立ち上げる「プチ起業」が最近増加。自宅を拠点にした雑貨販売などが多く、日本公庫の中嶋浩子・創業支援グループリーダー代理は「震災の影響で『癒やし』をテーマに取り入れる事業が目立ってきた」と話す。
監査法人のトーマツグループが手掛けるトーマツベンチャーサポートの斎藤祐馬・事業開発部長は「女性は男性と目の付けどころが全く異なる分だけ、起業のネタはたくさんある」と指摘する。
日本の伝統工芸技術を駆使して作られた日常品を取り扱うベンチャー「和(あ)える」(港区)も、これまでにない発想の事業で注目を集めている。
同社の矢島里佳社長は今春、慶大の大学院を修了したばかり。ものづくりの現場に憧れ、19歳のときに「職人に会いたい」と思ったことが起業のきっかけだ。JTBに掛け合って雑誌の連載の仕事を得て、全国各地の伝統産業の現場を取材した。そこで思い知らされたのは「資金が職人の手元に届かないと、伝統工芸は続かない」という現状だった。