10日の東京市場でも、300兆円超の資産を運用する生保マネーが相場を動かした。財務省が朝方発表した対外・対内証券売買契約状況で、4月に生保が外国の中長期債を4カ月ぶりに買い越し、買越額が4379億円に上ったことが分かると、円安が一段と加速。企業の決済が集中する「5・10日(ごとうび)」で、輸入企業が支払いに使うドルを買う動きが重なったことも輪をかけ、午前中に101円台を付けた。
円相場は、4月11日のニューヨーク市場と4月22日の東京市場でも一時、100円目前まで急落した。異次元緩和や、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で日銀の金融政策が容認されたことが契機だ。ただ、この時期は欧州景気の悪化や米経済指標が弱含み、安全資産とされる円への根強い需要が円安にブレーキをかけた。
しかし、欧州中央銀行(ECB)が5月2日、景気刺激のため10カ月ぶりの利下げを決定。米国でも雇用改善の強さが確認され、投資家が円を手放しやすくなったことが、今回の円急落につながった。(池田昇)