そこで、日本郵政グループは金融事業の強化で成長シナリオを描くが、頼みの保険や銀行の事業環境は厳しく、保険契約件数や貯金残高は減少傾向が続く。24年度末までの10年間で保険契約数は約46%減、貯金残高は約23%減と激減している。
逆風は事業環境だけにとどまらない。新規業務が参入できないことも郵政グループの先行きに暗雲が立ちこめる。昨年9月、かんぽ生命保険の学資保険の新商品の販売などを申請したが、金融庁は「リスク管理態勢の整備が遅れている」ことなどを理由に認可が出ていない。
さらに、追い打ちをかけているのが環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加だ。麻生太郎金融担当相は、「認可申請があっても、適正な競争関係が確立されたと判断できるまで認可する考えはない」と述べ、政府は米国企業などに配慮するする格好で認可を事実上凍結する考えを示している。
政府が100%出資する日本郵政は27年秋までの株式上場を目指している。4兆円とも見込まれる売却益は、東日本大震災の復興財源に充てる狙いだ。