京王電鉄は、電車の走行に使用する消費電力の削減に向けた取り組みを強化している。2012年9月には大手民間鉄道として初めて、消費電力の大幅削減につながる「VVVFインバーター制御装置」を全車両に導入した。すでに導入済みの「回生ブレーキ」と組み合わせることで、消費電力量を従来比約45%削減できるという。省エネへの取り組みは電車だけでなく、駅や車両基地には太陽光発電システムを設置。駅構内や案内看板などの照明には蛍光灯に代わって発光ダイオード(LED)の導入を進めている。
「回生ブレーキ」と組み合わせ
「現在の技術で省エネ効果が高い技術だ」
昨年9月に全車両に導入した回生ブレーキとVVVFを組み合わせた省エネ技術について、鉄道事業本部計画管理部計画担当の志賀英介課長補佐はこう説明する。鉄道部門が消費する電力量のうち車両運転用電力は「約75%」(志賀氏)を占めるからで、鉄道会社は電車の電力消費量をどう抑えるかに知恵を絞っている。
VVVFは電車の加速力や速度に応じて電圧や周波数を制御しながら、モーターを効率良く動かすことで消費電力を抑えられる。このため、電車の省エネ化を進めたい同社は1992年にVVVFを京王線の「8000系車両」に初採用した。その後、96年1月に導入された京王井の頭線の新型車両「1000系」、京王線の新型車両「9000系」には導入時から採用。03年度からは京王線の既存車両「7000系」でもVVVFへの改造を進めている。