いつの間にか“ロンリーワン経営”
かつてシャープは、部材調達から部品製造、組み立てまでを自社で一貫して手がける「垂直統合式」と呼ぶ自前主義を勝利の方程式としてきた。虎の子の最新技術については、自社製品の優位性のためだけに使用し、「ブラックボックス」として門外不出にする姿勢を徹底した。
そうした利己主義について、当時の町田勝彦社長(現特別顧問)は「オンリーワン経営」と名付け自賛した。
技術を囲い込む垂直統合モデルでグローバル競争に挑むためには、大規模工場に設備投資する必要に迫られた。
亀山工場に続き約4000億円を投じて液晶パネル工場を堺市に建設したが、このとき、既に薄型テレビの価格下落による消耗戦に突入。技術的に汎用(はんよう)化が進み、安い人件費を使って安価な製品を量産できる中国、韓国、台湾勢が台頭していた。