ベトナムでは急激な産業発展に伴って工業化と都市化が進行している。にもかかわらず、産業・生活排水の処理施設がまだまだ不足しており、大量の有機物が河川に流入し、都市部を中心に水質汚濁が深刻な状況にある。これを受けて積水化学工業のグループ会社、積水アクアシステム(大阪市北区)を中核とする産学官チームは、現地で汚水処理の実証試験に着手。これを機に、水質改善ビジネスに本格的に乗り出す。
今回のプロジェクトは、環境省による「アジア水環境改善モデル事業」の一環。「エスローテ」という装置を活用して浄化を進めていく。
このシステムは、立体的な格子状の接触体に固着した生物膜によって排水を浄化する。具体的には、接触体の約40%分を汚水に漬けた状態で低速回転。空気中からは酸素を吸収し、汚水中からは汚濁成分を吸着して分解する仕組みだ。この間、新しい微生物は増殖を続け、古い微生物は活性の低下したものから脱落する。
特徴のひとつが、モーター1台の電力だけで処理が可能という省電力を実現した点だ。省スペースも売り物。水槽容量は6.5立方メートルだが、単位容積当たりの処理能力が高いため、50立方メートルの活性汚泥槽に相当する処理容量を兼ね備えている。またメンテナンスも容易で、労務費の削減にも寄与する。