一方、フィルターの製品化には、国の許認可が必要になるため、東京大学との産学連携によって、性能を測定してもらいデータを提出、05年に製品化にこぎ着けた。
最初に納入したのは病院。最大の市場は、原発をはじめ原子力関連施設と分かっていたが、さまざまな壁があり、なかなか成果を挙げられなかった。
福島第1原発の事故で役立たなかった旧来型の活性炭フィルターが幅をきかせていたことに加え、フィルターも米国発の技術で活性炭素繊維製フィルターのデータがなかった。特に電力会社は、東電への納入実績を重視した。
ワカイダは、事故をきっかけに納入業者を経由して東電から大量に受注。在庫がなく、「一度は断ったが、すでに決まっていた病院が納品を先延ばしにしてくれて、何とか納品した」(若井田社長)という。
原発事故では最初の1週間をどう乗り切るかが問題になる。甲状腺がんのリスクを高める放射性ヨウ素131による内部被曝を回避するためだ。