【クールジャパン 目覚めよ日本力】
オペラ主演…11月にはパリデビュー
音声合成ソフトから生まれたバーチャルアイドル「初音ミク」が日本を代表するポップカルチャーになっている。世界各国でライブが開かれ、11月にはパリ・シャトレ座でデビューが決定した。人形に魂を吹き込んで芸術に昇華させるのは、文楽などに見られる日本の伝統的手法。ネットで表現できる現代性とあいまって活躍の場を広げている。
初音ミクは、歌詞とメロディーをコンピューター入力すると女性の歌声に変換できるソフトウエア。札幌市に本社があるソフトウエア開発企業「クリプトン・フューチャー・メディア」が6年前に発売した。
人の限界を超えた声域、歌唱技術を使って手軽に作曲ができることから動画投稿サイト「ニコニコ動画」で投稿ブームが起こり、人気曲はCDとして発売された。ただ、当初はネット上の熱烈なファンのものという印象も強く、同社の伊藤博之社長(48)は「ミクを拒絶する人も多かった」と振り返る。「新しい楽器や音響機械の登場ですら拒絶された時代があったことを考えると不思議ではなかった」