この10月、アップルが英国のバーバリーのCEOをスカウトしたニュースを目にして、前々からイタリアの仲間たちが話していたことが現実になってきたとぼくは思った。彼らはさかんに「ハイテクが俺たちの領域に入ってきた時、それは世の中でモノになることを意味する」と、どうみてもエラソーなことを語ってきた。簡単にいえば、「ひと様が気にいるようなテクノロジーをもってこい。そうしたら俺たちが上手く料理してやる」のが「俺たちの領域」の真意だ。
そうはいうものの、アップルはフランスやイタリアのファッション企業からではなく、こともあろうに英国のメーカーから米国人を引っ張った(イブ・サンローランからベルギー人幹部もヘッドハンティングしたが、彼は以前にアップルでの職歴がある)。
腕時計や眼鏡のカタチを使ったウエラブルコンピューターという「身に着ける」エリアの次元だけでなく、ライフスタイルにより深く寄り添うほどにITが生活の一部に入り込んできた証である。この分野のエキスパートに意見を聞いてみよう。
ジャンフランコ・キッコ氏はヴァーチャルとリアルをどう接近させるかとのテーマに強く関心を寄せる。アルゼンチンで生まれ育った彼は、ロンドンを拠点にデジタル戦略などをフィールドに世界を飛び回っている。