合併時に従業員の給与などの待遇面で好条件の方に合わせてきた結果、人件費が膨らんだという。このため人件費と食材費のバランスが崩れ、原価率を抑える圧力がかかっていた。これが仕入れ値の安い別の食材を使う背景にあった、という。
そのほかにも、合併の弊害は出身母体間の根強い軋轢(あつれき)という形でも残った。それを軽くするため阪急電鉄出身の社長が送り込まれてきたが、「出崎氏は最終ポストとして送り込まれ、寄り合い所帯で八方美人に徹したが、だれもついてこなかった」(関係者)といわれる。
前社長の出崎弘氏は反省の弁をこう語った。
「それぞれの出身母体同士の融和を優先し、会社として厳格に従業員を管理することが後回しになり、チェック態勢に欠けた」
スタッフの異動で“手口”広まる?
阪急阪神ホテルズ(系列50ホテル)が食材偽装表示があったと最初に公表したのは8ホテル。いま弁護士らでつくる第3者委員会がすべてのホテルの実態を改めて調査しており、グループ内のどれだけ広がるか分からない。