川崎重工業の村山滋社長は17日、産経新聞のインタビューに応じ、平成29年度にも鉄道車両事業の売上高を24年度(1299億円)の約1・5倍に当たる2000億円に引き上げたい考えを示した。好調な米国では現地工場の生産能力を高め、需要増に対応。インドや東南アジアなど新興国展開も強化する。
村山社長はインタビューで「海外は伸びしろがある。29年か30年に2000億円に持っていきたい」と意欲を示した。
同社は鉄道車両事業を航空と二輪に並ぶ「注力事業」と位置付けている。米国では9月、ニューヨーク州交通局傘下のロングアイランド鉄道などから通勤車両を受注。受注総額はオプション契約を含めて約18億3000万ドル(約1900億円)で、34年までに約680両の製造が見込まれている。ワシントン首都圏交通局からも地下鉄車両を受注している。
車両はネブラスカ州のリンカーン工場で生産。新たな受注も予想されるため、工場のレイアウト変更や作業効率化などで生産能力を引き上げる。最終組み立てを行うニューヨーク州の工場も生産性を向上する。
新興国でも受注増を目指す。村山社長は「インドやタイ、マレーシアでの受注を期待している」と話す。東南アジアでは、高速鉄道の建設計画が相次いでいるが、中韓メーカーとの価格競争も激しい。
このため、車両だけでなく信号や通信も含めたシステムを売り込んだりすることで、差別化を図りたい考えだ。