ヴェゼルでは、電動パーキングブレーキをはじめ、通常なら上位機種に搭載するような装備をぜいたくにそろえた。インテリア設計担当の岩波晃司さんは「(社内で)反対勢力があり、収益を確保できても賛同を得られないときもあった。でも、できたクルマは魅力的だった」と満足げに笑う。
爽快な走りや低燃費もヴェゼルの特徴だ。「技術のホンダ」の面目を保つため、エンジニアたちも奔走した。エンジンなど動力装置を担当した森下尚久さんは「ハイブリッドシステムと車体をマッチングさせるため、開発チームだけでなくハイブリッドグループ全体の協力を昼夜問わずもらった」と語る。
また、車体テストを担当した秋山英和さんは「SUVだけれど乗った感じは乗用車にしたかった。クーペのような(スポーティーな)乗り味を出すため、サスペンション周りから見直した」と説明した。
「難しいテーマだったが、世の中にない新しいクルマが出せた。誇らしい気分だ」
パッケージデザイン担当の日尾僚兵さんの言葉が開発チームの心境を代弁している。