日本の農業は大きな転換点に差し掛かっている。これまでは所得水準の高い1億3000万人の良質なマーケットを前提に成り立っていた。だが、人口は少子化により減少局面にあり、加えて高齢化で1人当たりの食料摂取量の減少が見込まれるため国内マーケットは加速度的に縮小すると予測される。さらに環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、自由貿易協定(FTA)などの貿易自由化は世界的な流れとなり、各枠組みの賛否はさておき、農産物貿易の構造の大きな変化は不可避だ。国内マーケットの縮小と貿易自由化という大きなトレンドを前に、これまでのドメスティックな日本農業はグローバルな産業への変革を迫られている。そこで農業のグローバル化のための方策を3つの視点から見てみよう。
新興国中心に高評価
1つ目が農産物輸出だ。日本の農産物はアジア新興国を中心に高評価を得ている。現地のデパートや高級スーパーマーケットには日本産のリンゴやイチゴが日本国内の何倍もの高値で販売され、高級レストランではブランド和牛が存在感を示す。日本酒やしょうゆなどの加工食品や水産物とともに「日本産は高品質」というブランドイメージが醸成されている。