英調査会社IWSRによると世界の蒸留酒市場の規模は2012年に1711億ドル(約17兆5000億円)と2年連続で6%伸び、今後も新興国の所得水準向上などに伴って拡大が見込まれる。ビーム社買収に成功したサントリーは、目標に掲げてきたグループ売上高2兆円、海外比率25%を達成する見通しで、成長の軸足を世界市場へと移す。
ただ、巨額の買収費用は経営に重くのしかかる。今回の買収で、有利子負債は1兆4000億円に膨らむ見込み。ムーディーズ・ジャパンや日本格付研究所(JCR)が、サントリーHDの格付け引き上げに動いており、新たな大型買収は当面難しい状況だ。
佐治社長は昨年の決算会見で「1~2年以内の引退」を示唆しており、ビーム社買収を花道にトップ交代もささやかれる。今回の買収が「英断」となるかは、狙い通りの相乗効果を上げ、収益率を高められるかにかかっている。(山沢義徳)