電球の製造販売から電力などのインフラ、産業機械に移行した米ゼネラル・エレクトリック(GE)、パソコン販売から撤退し、法人向けソフトやサービスに特化した米IBMなど、脱家電による成功例は多い。
ただ、パナソニックは看板商品だったテレビで利益の大半を稼いでいた過去の成功体験に縛られ、また事業領域を消費者から法人という社名が前に出ない「地味な世界」に移すことに抵抗感もあるのか、脱家電は困難とみられていた。
しかし、今の電機業界で利益を確実に出しているのは京セラや日本電産など法人向けを主力とする部品メーカーだ。改革を進める津賀社長は「法人向け製品でも社会や消費者に貢献できる」と強い口調で訴える。
経済ジャーナリストの財部誠一氏は「家電分野でサムスンを逆転するのは難しく、法人向けシフトの方向性は間違っていない」と評価。一方で自動車、住宅分野に照準は定まったものの、「まだ核となる商品がなく、社内も改革のスピードについていけていない」と指摘する。
テレビの“呪縛”を解くことはできるのか。業界の盟主に再び返り咲くための模索が続く。