開発の方向性に手応えを得たところで、同社にとって国産第1号のタイヤ製造から100年の節目に当たる25年の市販化をゴールに定め、非石油系素材比率の拡大と性能の両立を3段階のステップを踏む形で開発に取り組んだ。
「目標はあったが、(開発技術の裏付けなど)中身がなかった。半端ないプレッシャーだった」。16年から素材開発に携わってきた和田孝雄材料企画部課長は振り返る。
最初に着手したのは、石油系素材の天然素材への切り替えだ。タイヤの主原料である合成ゴムを天然ゴムへ、タイヤの補強剤となるカーボンブラックはシリカへ、鉱物油は植物油へ-と、素材の代替を進めていった。
ただ、天然ゴム製のタイヤには雨の路面でブレーキをかけて、車が停止するまでの制動距離に課題があった。「合成ゴム製が50メートルならば、天然ゴム製では70メートルかかる」(和田課長)という安全面の懸念だ。