だが、通信料金の低下を促したい同省は、MVNOが携帯電話事業者に支払うネットワークの貸出料金の算定方法を13年度分から改め、12年度の約半分に引き下げた。半額のインパクトは大きく、民間調査会社MM総研の石塚昭久研究員は「料金値下げが相次ぐはず。現時点で1500万件近いMVNOの契約数は15年度に2倍超の3000万件程度に増える可能性もある」と予測する。
総務省によると、02年から12年までの10年間、勤労者世帯(2人以上)の消費支出総額が景気低迷の影響で5.2%減少したのに対し、通信費は40.1%上昇した。消費支出に占める通信費の割合は3.6%から5.4%に高まり、家計を圧迫する。低価格サービスを提供するMVNOが受け入れられる余地は十分にある。
一方、サービスの普及には課題もある。「低料金でサービスが受けられるにもかかわらず、なかなか利用者の理解が進んでいない」(上川陽子総務副大臣)点だ。実際、MM総研が昨年6月に実施したアンケート(有効回答数6万件)では73.8%がMVNOのサービスを知らないと答えた。サービスを知っているのは4人のうち1人という結果で、普及促進には認知度向上も不可欠だ。(佐藤克史)