牛丼大手の吉野家は25日、4月1日から投入する新しい牛丼を発表した。消費税率引き上げで、並盛りを280円(税込み価格)から300円(同)に引き上げるが、肉の長期熟成などで味や品質を引き上げる。牛丼は大手3社が「並280円」だったが、4月以降は松屋フーズの「松屋」が10円引き上げる一方、ゼンショーホールディングスの「すき家」が10円引き下げ、横並びが崩れる。ほかの外食や小売りでも、増税分の転嫁や値上げの一方で、据え置きや値下げの動きもあり、価格戦略はまちまちだ。
25日の会見で吉野家の安部修仁社長は「味と品質の向上で、お客さまに価格以上の価値を提供でき、満足いただける」と、価格競争からの脱却に自信をみせる。だが、「社内にはいろんな意見があった」と、決断までの曲折も説明した。
外食、小売り各社は、競合の動向が気になるなか、価格戦略について「悩みに悩んだ」(外食大手首脳)。
増税分の転嫁を選ぶ企業が多いが、一律に転嫁というのも難しい。ファミリーマートは、基本は価格転嫁だが、「価格訴求力が強い商品は上げられない」(玉巻裕章常務)として、「唐揚弁当」などを据え置いた。