「異変だ…」
丸紅の豪牛肉生産子会社レンジャーズバレーでは、昨年から中国向け輸出が前年比3~4割伸びた。日本人の嗜好に合わせた高級穀物肥育牛が人気の秘密だ。丸紅畜産部の野村和伸部長は「中国向けを増やす一方、拠点増強や米国など畜産生産拠点も検討したい」と意気込む。
同様に伊藤忠商事は昨年1月、中国を中心としたアジア市場での販売拡大を視野に、カナダの養豚・豚肉の一貫生産会社ハイライフに資本参加した。三菱商事もコフコや伊藤ハム、米久と豚肉の生産事業に参画するなど、食肉や加工食品事業を拡大し、巨大市場を取り込む構えだ。
今後の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉次第で農産物の輸入形態は大きく変わる可能性がある。日本企業はライバルでもある中国企業とも手を組むしたたかな戦略で、生き残りを図る。(上原すみ子)