大仲取締役は、家電量販店の店頭で、さまざまな電化製品の段ボールを見せてもらえるようお願いし、外箱に記入すべき事項を研究。同様に説明書についても、いくつも他社製品を購入して内容を学んだ。スマホだけでなく、ブルーレイディスク・プレーヤーやテレビなど、機械に弱い消費者も対象とした製品の説明書も参考にして分かりやすい説明を目指した。
「社員一人一人が自分の頭で考えて、全力で動かなければいけない。大企業にはないこの緊張感が好きなんです」と大仲取締役は語る。増田社長とともに務めたソフト会社は在籍中に東証1部に上場したが、大仲取締役が入社したころは会社創生期。忙しくて家に帰れず、段ボールにくるまって寝る日も少なくなかった。大仲取締役は「そのころが一番楽しかった」と振り返り、「外資大手に転職したのに短い期間で飛び出して起業したのは、やっぱりそういう性分なんでしょう」と笑った。
フリーテルが発売されて話題になっている今も、同社の“全員野球”の姿勢は変わらない。ユーザーから寄せられる質問メールへの回答や会社公式ブログでの情報提供などのサポート業務は全てに優先して全員で取り組む。「LINEってどうやって友達登録すればいいの?」「スマホゲームの攻略法教えて」など、フリーテルに直接関係ない質問でも、顧客のスマホライフ向上のためならできるだけ答えてきた。この真摯(しんし)な対応に、ネットユーザーの間では「SIM周りで分からないことがあったらプラスワンに聞け」と、“駆け込み寺”として有名になりつつあるという。