トヨタ、稼ぐ力復活も「真の競争力」獲得は道半ば

2014.5.8 23:31

トヨタ自動車の決算発表会見に臨む豊田章男社長=8日午後、東京都文京区のトヨタ自動車東京本社(宮崎裕士撮影)

トヨタ自動車の決算発表会見に臨む豊田章男社長=8日午後、東京都文京区のトヨタ自動車東京本社(宮崎裕士撮影)【拡大】

  • トヨタ自動車の豊田章男社長
  • トヨタ自動車の決算発表会見に臨む(左から)佐々木卓夫常務、豊田章男社長、小平信因副社長=8日午後、東京都文京区のトヨタ自動車東京本社(宮崎裕士撮影)
  • トヨタ自動車の決算発表会見に臨む(左から)佐々木卓夫常務、豊田章男社長、小平信因副社長=8日午後、東京都文京区のトヨタ自動車東京本社(宮崎裕士撮影)

 トヨタ自動車の平成27年3月期の連結営業利益は、前年と比べ伸び率は大幅に鈍化するが、2期連続で過去最高を更新する見通しだ。販売面でも、ダイハツ工業と日野自動車を含めたグループ販売台数は、世界初の1千万台を超えた前期に比べ、1・2%増の1025万台まで増加する。ただ、世界的に競争環境が激化するなかで1千万台の販売を続けるのは至難の業だ。真の競争力をつけるにはなお課題が山積している。(飯田耕司) 

 「稼ぐ力は強くなっている」

 豊田章男社長は、8日の決算会見でこう自信を示した。収益力の高さを示す売上高営業利益率は、前期が8・9%で、20年以来6年ぶりに8%を超えた。26年3月期は想定為替レートが前期に比べ1ドル当たり17円円安に振れたことで、約9千億円の増益要因となったことが大きい。

 ただ、トヨタは今期も同等の水準を維持する見通しだ。独フォルクスワーゲンやルノー・日産自動車連合、米ゼネラル・モーターズ(GM)をしのぎ、トヨタの収益力は世界の自動車大手でトップレベルにある。タイの洪水や東日本大震災などの苦難の中でもコスト削減を積み重ね、体質改革を図った成果だ。

 加えて、「経営資源を振り向けられる今こそ、思い切った変革や将来の成長に向けた種まきを進めていく」(豊田社長)との方針のもと、昨年4月から自動車事業を「先進国」や「新興国」など4つの組織に分け、意思決定の迅速化を図った。

 こうした中で課題となるのは、デザインやブランド力の強化だ。「環境を軸にブランドイメージをつくれるのは先進国でもごくわずかだ」(トヨタ幹部)というように、トヨタ車は「壊れない大衆車」のイメージから抜け出していない。

 実際に高級車分野でトヨタの「レクサス」は、アウディやBMWといった欧州勢に大きく見劣りする。マーケティングやデザイン、ブランド力などで欧州勢に後れを取っているためだ。

 今後も年間1千万台の販売を維持するには、まず新興国での販売の維持拡大が重要だ。「持続的成長を続ける」(豊田社長)には、ブランドイメージを高めるソフト面の充実がカギとなる。

 また小平信因副社長は、政情不安が続くタイの販売計画について下方修正を示唆した。新興国市場の不透明さも懸念材料だ。

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