■高まる存在感、地域へのPRに貢献
西京銀行(山口県周南市)の「キャラバン隊」が獲得した事業向け融資の新規契約を資金別にみると、運転資金が大半を占める。「建設業やサービス業などに対する小口の運転資金」というのが平均像といえそうだ。
キャラバン隊は3カ月の期間で活動をしているため、設備資金のように情報をキャッチしてから融資の実行まで時間のかかる案件は対応が難しいからだ。そこで、時間のかかりそうな案件の情報をキャッチした際は、担当店の渉外担当者にバトンタッチすることにしている。
3カ月間の活動期間が終了すると報告会が開かれ、平岡英雄頭取をはじめ全役員が出席。若手行員の成功談や失敗談を含めた活動報告に耳を傾けることになり、「若手行員の大きな励みにもなっている」という。
キャラバン隊の隊員は基本的には本部が選抜するものの、最近では支店長が推薦してきたり、若手行員自らが志願するケースも少なくない。キャラバン隊が継続的に成果を上げ、行内での存在感が高まってきたことの証左だろう。
営業統括部営業推進グループの穐本晴夫主任調査役は「3カ月間、新規融資開拓が100%という活動は過酷な面もあるが、今後の成長を考えれば非常に恵まれた環境ともいえる。経験豊富な隊長の下で成功体験を積めば大きな自信にもなる。ここを巣立った若手行員が各営業店に戻った後も『キャラバン精神』を発揮して活躍すれば、先輩行員にも大きな刺激を与えるだろう」と話す。
キャラバン隊の訪問件数は日々増え続けている。新規融資の開拓につながらなくても、地域に西京銀行をPRできたことになる。今後の営業展開を考えると大きなプラス材料だろう。
西京銀行は、中期経営計画の目標を1年前倒しで達成することを視野に入れている。中計で掲げた3つの挑戦の一つ「新規融資事業所の開拓」は目標を上回るペースで実績を積み上げ、融資量の拡大も順調だ。キャラバン隊の獲得する融資は小口が中心とはいえ、さまざまな副次的効果を生んでいる。中計達成への貢献度は計り知れない。