サントリーは、ビームの発行済み全株式の取得に158億ドル(約1兆6000億円)を投じた。同社の売上高の6倍だけに、一部で「高値づかみ」(証券アナリスト)との見方もされた。
これに対し、佐治氏は「今後20~30年の企業成長を考えれば、高い買い物ではない」と強調。さらに、蒸留酒はビールや清涼飲料より新規参入が難しく、利益率も高いという有利さを指摘した上で、買収資金として借り入れた8000億円は「15年程度で回収できる」とした。
両社は年内に蒸留酒事業を統合。蒸留酒事業トップとなるビームサントリーのマット・シャトック最高経営責任者(CEO)は、世界シェア2位の仏ペルノ・リカールに迫るため「アジアやブラジルなど新興国での存在感を高めていく」と説明した。
ビームの買収でサントリーの14年12月期の連結売上高は前期よりも20%以上膨らむ見込みだが、佐治社長は「新たなM&Aが必要になるかもしれない」と述べ、規模拡大の手を緩めない考えを示した。