世界的に食料不足が深刻さを増し食料自給率向上が大きな課題となる中で、日本の食料自給率は39%(12年度、カロリーベース)にとどまっており、主要先進国の中では最低水準だ。中でも牛乳・乳製品についてみると、牛乳こそ100%国産ながら、全体では1969年度の91%をピークに下降線をたどり、12年度には約65%と40年で26ポイント低下した。チーズや調整品などの乳製品の輸入増加などに加え、酪農家の減少による生乳生産の縮小などが背景にある。96年度に約866万トンあった生乳生産量は14年度には約745万トンにまで落ち込んだ。
■飼料価格高騰と円安で打撃
5月29日に東京で開かれた日本酪農の現状についての説明会に出席した一般社団法人中央酪農会議の内橋政敏事務局長は「酪農は、堆肥のほ場への還元といった土地作りを通して環境に負担のかからない循環型農業の担い手であるほか、『酪農教育ファーム』は子どもたちの教育の場という社会的役割がある」と酪農の重要性を強調するが、ピークだった63年に約42万戸を数えた酪農家も、現在は約2万戸(13年)と大幅に減少した。