「男性向けも商機」
食品メーカーも家庭の「時短調理」を後押しする。料理用調味料の「クックドゥ」を展開する味の素は昨年、中華の重点商品を青椒肉絲から回鍋肉に切り替えた。
青椒肉絲の調理では牛肉、ピーマン、タケノコを同じサイズで細切りするが「回鍋肉はキャベツや肉を大まかに切るだけで済み、下ごしらえの時間を短縮できる」(家庭用事業部の中島広数専任部長)。
その読みが的中した上、12年夏に発売した和食用「クックドゥ きょうの大皿」シリーズのヒットもあって、13年度は前年度比2桁増の伸びをみせた。
一方、キッコーマンや永谷園はスーパーの協力を得て、豆腐などの食材のそばに和食の調味料を陳列し、浸透を図るといった取り組みを進めてきた。キッコーマンは「認知度をさらに上げ、事業規模を20年度には13年度比で2倍の100億円に育てる」(中島みどりプロダクトマネジャー)と意気込む。
日本総研の池本美香主任研究員は「日本人はレベルが高い食事を求める傾向があり、女性の社会進出が加速する中で、食卓の質を落とさないようにする取り組みはさらに拡大する」と予測。「今後は女性だけでなく、男性が食事を用意することに対応した商品やサービスも求められる」と指摘している。(平尾孝)