ネット上で取引する顧客の資産規模は1000万円未満が大半だが、IFAの顧客では「数十億円の資産を持つ顧客も珍しくない」(SBI)といい、高村正人社長は「IFAによる富裕層の顧客へのアプローチが大きな成果を上げている」という。
IFAの手数料はネット取引の手数料より高いが、それでも「富裕層の『投資家目線の質の高いアドバイスを受けたい』ニーズは根強い」(高村社長)ようだ。
事業拡大へ追い風
一方、大手証券で唯一IFA事業に参入していたSMBC日興証券は今年、管理コストがかさむことなどから、同事業の撤退を決めた。SBIや楽天は、日興の金融商品を取り扱えなくなったIFA業者の取り込みを図るとともに「事業拡大のチャンス」(SBI)とみる。
今年1月には少額投資非課税制度(NISA)が始まるなど「貯蓄から投資へ」の動きが本格化しつつある中、IFAが今後、日本の証券業界でどのように根付くか。「将来的にさまざまな投資家層に幅広く利用される可能性を秘める」(楽天の楠社長)だけに、IFAをめぐる各社の動きは今後一層、活発化しそうだ。(佐藤裕介)