「次の世代育たず」
ただ、サントリーは、赤字続きだったビール事業を参入から46年かけて収益の柱に育て上げるなど、短期的業績にとらわれない同族企業ならではの経営判断も強みだ。グループ内では、創業者の鳥井信治郎氏の曾孫で新浪氏より7歳若い鳥井信宏氏(48)が、11年からサントリー食品インターナショナルの社長を務めている。
佐治氏も「創業家で経営を続けられればベスト」と語るが、急速に国際化を進める中で「次の世代が育っていない」と今回の人事を断行。信宏氏は当面、昨年7月に株式上場を果たしたばかりの同社に専念しながら経営経験を積み重ね、次のトップ候補に上るとみられる。佐治氏は「(信宏氏に)うまく成長してもらいたい」と語る。次の経営トップ育成も新浪氏の大きな役割となりそうだ。(山沢義徳)
【プロフィル】新浪剛史 にいなみ・たけし 慶大卒。1981年三菱商事。ローソン社長を経て、2014年5月から会長。横浜市出身。