外箱のデザインについての検討が繰り返されるなか、思わぬ反応が本社に届いた。事前に外箱のデザインを見た中国の販売担当者から、「これなら間違いなく売れる」と報告が寄せられたのだ。「アニメやキャラクター、ファッションなど、アジアでは日本の『カワイイ』文化が広く受け入れられている」。そう確信した鷹野氏は「販売が苦戦するようなら、パッケージのデザインを変えればいい。まずはこのデザインで挑戦したい」と再び社内を説得。当初の外箱のデザインの採用にこぎ着けた。
発売開始直後には、東京・原宿のファッションイベントに出展。女性モデルにチェキを使ってもらい、撮った写真を会場で展示することで、写真の楽しみ方を発信した。
その後、衣料品店や雑貨店などから引き合いが入り出したという。山本さんは「どうやら若い女性の間では、チェキはインスタントカメラではなく、おしゃれなファッションアイテムとして映っているようだ」と分析した。
これまで、カメラは写真店やカメラ量販店でしか見かけることはなかった。だが、ファッション性を持ったチェキは、海外の書店や化粧品店の店頭で置かれるようになり、より多くの人にその存在を知らしめることになった。