次世代エコカーの本命とされる燃料電池車(FCV)向けに、燃料となる水素を供給する施設「水素ステーション」の拡大に向けた動きが加速してきた。JX日鉱日石エネルギーは16日、水素ステーションを運営する子会社を10月1日付で設立すると発表した。岩谷産業も14日、水素ステーションを商用として初めて兵庫県尼崎市に開設しており、FCVの普及を後押ししそうだ。
JXエネは新たに設立する子会社に水素製造設備や水素ステーションの運営などを委託する。平成27年度までにグループで40の水素ステーションの設置を目指す。
一方、岩谷産業はFCVの販売開始後に水素の一般向け販売を始める。価格は未定だが、ガソリン車と走行コストが同等になる水準に設定する方針だ。
調査会社の富士経済によれば、水素燃料や水素ステーションなど水素関連の国内市場が、37年度には今年度比で約26倍にあたる5228億円まで拡大。設置カ所は25倍の950になると予測している。FCVはトヨタ自動車が今年度内、ホンダも来年中に発売を予定しており、急速な市場の伸びが期待されている。
FCVは、水素と空気中の酸素の化学反応で電気を発生させ、モーターを回して走行する仕組み。