キリンビールは25日、痛風の原因とされるプリン体と糖質を含まない発泡酒「淡麗プラチナダブル」を9月2日に発売すると発表した。アサヒビールとサントリー酒類も、同じ健康機能を持つ新商品をすでに発表。サッポロビールが第3のビールから切り替えた「極ZERO(ゴクゼロ)」と合わせ、「プリン体・糖質ゼロ」の発泡酒が4社から出そろい、販売競争が激化する。
「極ゼロの切り替えをうけ、当社も発売を決めた」
キリンの磯崎功典社長は、新商品についてそう明かす。糖質とプリン体をカットする製法は、消費者の健康志向に訴求するカギとして各社が研究していた。
しかし「第3のビールは大麦の使用比率が厳しく制約され、味の向上が困難」(大手開発担当者)という事情があった。そのため、昨年6月発売の極ゼロが半年で約360万ケースを売り上げるヒット商品となった後も、第3のビールで追随するメーカーはなかった。
今年9月からは機能、価格帯の同じ発泡酒が4種そろうため、各社は風味のアピールで差別化を図る。アサヒは独自素材の「コメ乳酸発酵液」で飲みごたえを高め、サントリーは発売直前まで改良を続行。迎え撃つサッポロも、金券のプレゼントキャンペーンなどで顧客つなぎ止めに懸命だ。
ただ、小売店の陳列スペースは限られる。4社の商品がそろっても「置いてもらえるのは2~3銘柄だろう」(布施孝之・キリンビールマーケティング社長)というのが実情で、販路確保をめぐる安売り合戦に陥る可能性も否めない。