ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は「スズキは対等な関係でVWの技術を得られると期待したが、VWはスズキを徐々に支配して世界戦略に組み込みたかった」と思惑のズレを指摘する。
今後、和解が成立しなければ仲裁裁判所から法的拘束力のある裁定が下される。想定されるのは(1)スズキの主張通り自社株の買い戻しを認める(2)両社に非があるとして、価格を上乗せするなどスズキにペナルティーを科した上で買い戻しを認める(3)VWのスズキ株保有継続を認める-の3パターン。
交渉経過が不透明なため結果を見通すのは難しいが、「双方とも言い分が決定力に欠ける。痛み分けになるのでは」(自動車大手幹部)との指摘もある。
一方、VWの言い分が認められた場合、スズキは敵対的買収の危機にさらされる。VWが13.1%以上の株式を買い増せば持ち株比率が3分の1超となり、重要議案を否決できる拒否権を握るからだ。