【未来への伝言】葛西敬之・JR東海名誉会長(中)
■経済統合も担う日本の大動脈強化
《JR東海の運輸収入の大半を稼ぎ出す東海道新幹線は、10月1日に開業50周年を迎える。東京と名古屋、大阪の3大都市圏を高速鉄道で結ぶ日本の大動脈として使命を果たし続け、累計で約56億人もの旅客を輸送してきた》
「衝突回避」初の導入
「50年のうち23年は国鉄が、27年はJR東海が運行を担ってきた。東海道新幹線という高速鉄道は鉄道の革命だったと思う。革命的といえるポイントは2つある。一つは、世界で初めて平面交差のない高速旅客列車専用の線路を設けたこと。欧州などでみられる在来線との直通運転モデルでは、貨物列車や普通列車などと、高速列車が1つの線路を共用するのに対し、新幹線の線路は専用線として厳重に保護されている。もう一つは、許容速度を制御し、絶対に衝突を防ぐ自動列車制御装置(ATC)を導入したこと。この2つの仕組みによって、衝突の可能性を徹底的に排除する『Crash Avoidance(衝突回避)』の原則をベースとしている。この原則を初めて取り入れたのが東海道新幹線であり、その後、日本の新幹線の基盤にもなった」